木下栄造の著作

木下 栄造

『キャッチフレーズの記号論』(ISBN: 4-422-81204-1. 1988年.  創元社. 1,300円)
 新聞・雑誌等の見出し、広告物・プラカード・標識などに用いられている主として英語で書かれたキャッチフレーズを、欧米を中心に10年ほど掛けてフィールドワークし、その意図や深層の意味を我が国で初めて分析・解読したもの。現在品切れで新本は入手しにくいが、NACSIS(文部省学術情報センター)の目録所在情報によると、36大学に所蔵されている。

『エイズのセクソロジー』(ISBN: 4-426-47600-3. 1994年. 自由国民社. 1,400 円)
 1981年に米国で患者が発見されると同時に筆者はエイズを性病と位置付け、直ちに資料・情報収集を開始し、10年の歳月を掛けて完成したのが本書である。内容は以下の如くcomprehensiveである。
1. エイズの軌跡
2. エイズパニック
3. エイズの引き起こした人権侵害
4. 医学とその周辺
5. 救済と支援
付録: エイズ用語集、エイズ・性科学関連英和小辞典

新刊 『結婚の科学』(2002.10.22発売. 文春新書. 700円)
 結婚・離婚問題の「先進国」米国の最新の研究成果を取り入れ、これから結婚する人には好いパートナーの見つけ方、既婚者にはより一層幸せな長続きする結婚について指南する。内容は次のような章から成る。

1. 男と女
 1-1、男と女は本当に違うのだろうか
     科学的に見た性差
1-2、男性の心理
     男性にとって愛するということは
     男性は女性に何を求めるか
ハイトレポートで分かった男性の性
     男性の恋愛観
1-3、女性の心理
男の知らない女性の心理
女性の特性

2. 恋愛
  2-1、どうすれば本当の恋が判るか
  2-2、ロマンチック・ラブの落とし穴
2-3、本当の愛を見付けるためには
     ラブ・テスト 

3. 結婚
3-1、幸せな結婚
3-2、夫婦間のトラブル
結婚生活は植物を育てるのと同じ  
      男の問題
女の問題
夫婦のトラブル
夫婦の危機を乗り越える
対話の作法
夫婦喧嘩
総仕上げのテスト
3-3、不断の努力
      結婚の実態チェック
男を喋らすには
相手を変化させ自分も変化する
貞節な夫
家庭に笑いと喜びを
結婚における性

4. 離婚
4-1、各国の離婚の実態
米国
イスラム諸国
社会主義国
ヨーロッパ、ラテンアメリカ諸国
日本
4-2、離婚に踏み切るまで
      熟慮が必要
    子供の問題
4-3、再婚するに先立って

関連サイト
http://www.bunshun.co.jp/search/html/6/60/27/4166602780.html
http://www.sankei.co.jp/news/021103/1103boo010.htm


 堂露小路 梅隆
 何れも京都を舞台にした小説で、過激な暴力や赤裸々な性描写は描かず、茶の間に置いておいて誰が読んでも良い家庭小説を書いている。

『京都疏水べりものがたり--本当の「哲学の道」--』(ISBN: 4-88848-327-2. 1996年. ナカニシヤ出版. 1,800円)
 東山山麓を流れる疏水分線の「疏水べり」は現在では「哲学の道」と呼ばれ、西田幾多郎に因むという説が一般に流布しているが、本当は学徒出陣していった京都帝大生達が、ドイツ・ハイデルベルクの「哲学者の道」に準えて名付けたという事実を明らかにしたもの。三部から成るオムニバスで、
I. 疏水の歴史
II. 帝大生達の集う文化サロンと成った疏水べりの日本画家月丘玉兎邸を舞台に、帝大生の青春や戦中戦後の地域住民との交流を描いたノンフィクション。
III. 研究者である夫と共に留学から帰国した余所者である妻が、疏水べりに住み始め、周囲の京都人に対し驚きや違和感を覚えながらも、少しずつ主体性を確立して行く。短編小説。
 

『ラスト・ドクター』(ISBN: 4-87974-982-6. 1998年. 松香堂書店. 1,800 円)
 一介の市井の開業医でありながら、全国学校検尿制定の原動力となって多くの腎臓疾患児の治療や予防に貢献し、また、全国の内科勤務医・開業医の集合体である日本臨床内科医会を興すなど、医学界にも大きな貢献をし、明治・大正・昭和・平成の激動の4代を生き抜き、今も尚94歳で壮健な開業医の最高峰の軌跡を辿る。

[ 訃報 ] 主人公高島雅行博士は2001年5月22日、諸臓器不全の為、京大病院で逝去した。享年96歳。合掌


『再見』
 贈収賄や女性問題で首相が相次ぎ辞任し、政局が混迷していた頃、国務大臣藤原雍睦は清廉潔白で人望も篤く、次期首相の呼び声が高かった。折から彼は原子力発電所を視察し、その帰途自動車の中から国道下の川原で地元の子供達が子犬と遊んでいるのを目ざとく見つけ、車を止めさせ、人払いをして川原に降りて行った。
 彼は遠く中国湖南省長沙に生まれて幼少期を過ごしたが、忘れられない子犬の思い出があった . . . [未刊]

『グジラ、ダイオン』
 地方公務員の向井には知的障害児の長男惇があり、京都府下のミッション系の施設に預けている。或日面会に施設を訪れた向井は広い浴場で久しぶりに惇と二人だけで入浴する。滅多にない機会なのでいつになく長湯をしていると、湯煙の中で惇の顔が別人に見え出し、急に
「僕は海で溺れたが、誰も助けて呉れなかった . . .クジラ、ライオン。 」
という意味のことを、今迄聞いたこともない方言で喋った。
 向井は自分が長湯でのぼせて幻覚を見たのだと思った。そして帰宅して妻に話しても
「前世の話なんて . . .」
と一笑に付された。しかしどうしても気懸かりになり、惇の使った方言が紀伊半島の言葉らしいことが判り、迷いを晴らすために機会を得て調査に出かけた . . .[未刊]

 『二人のクリスマス』
 誠二は地方の高校を卒業して京都の印刷会社で働いている。遊び仲間も出来たが、自分だけセックスの体験が無いことが判り、仲間の一人がスポーツカーを貸してくれ、薬問屋に勤めているのが「媚薬」を呉れた。そしてクリスマスイブには女の子を物にする様に、それから正月に皆が集まる時に報告する様に、と唆した。
 彼は何とか女の子を見つけ、車に乗せてドライブに出た。彼女はレイコといい、段々と身の上話をし始めた。少しIQは低いが、純真で精一杯働いていて、信仰を持っていることが判った。共に母子家庭であることから誠二は親近感を持つが、先ほど密かに缶ジュースに混ぜて飲ませた「媚薬」が利き出し、レイコは眠ってしまう。傍らに横たわるレイコの豊満な姿態を見て、誠二は欲情を押さえることが出来ず、レイコのパンティを脱がせるが、脱がせても脱がせても純白のパンティが顕れる。そして . . . [未刊]

 

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